「Magical Sweetie」
ある晴れた午後、日差しは心地よく肌を撫でるような風が通る
そんな日の東方司令部、執務室での話。
つまらん事で会議か・・・
今日の会議の議題と内容はいつものやり場の無い話ばかりでうんざりしてしまう。やれ、設備広くしろ人員を削減しろだの今日に限らずいつまで同じ話の堂々巡りになっているのか気が付かないのか。
外から来た耄碌将軍には私に対して難癖を付けないと気がすまないらしい。
責任の擦り付け合いと軍功の自慢の演説会で気味が悪い。
「どう思うかね?ハボック」
わざとトイレで用を足している最中に話しかけ同意を求めてきた上司はいやらしい笑いを見せながら鏡の向こうに視線を送った。
つまり、トイレにいる先客は自慢と責任逃ればかりの外部の将軍が個室に居る事を知っていてわざと愚痴を言っているのだ。
その将軍さえトイレに入って行くところを見ながら「付いて来い」だけの一言だけで後は好き放題言っている。
この上司、ロイマスタングはいわゆる『憎まれっ子世に憚る』という典型的なタイプでこれまでどのくらいの人間、男を泣かせてきた事か・・・
泣かせられてきたという意味ではこの部下のハボックも同じではあったが別段嫌いな上司ではなかった。
「そうっすね〜人間ああなちゃオシマイだなっていい見本を見てるようで勉強になりますっすね!」
答えた口元は引きつり笑い目線は上司と同じくいつまでも開かない個室を眺めている。
恐らく個室の中では真っ赤な顔をしながら屈辱に耐えているであろう将軍の顔を想像すればまた口元が歪んでしまう。
「あれこそが馬鹿の見本だ。真似は・・・まぁできんだろうがな」
そういい残すと蛇口を捻り手を洗うとつまらない顔をした二人はトイレから出て行った。
が、二人が話してるときには例の将軍が出てくることはなかった。
昨日から鋼のが3ヶ月ぶりに東方まで来ている。
こんな時に会議なんてしている場合ではない、さっさと山積みの類を仕上げて
できれば滞在中は有給を使って鋼のと『恋人』としての時間を楽しみたい。
なのに朝一番の列車で将軍がお出ましかと思えば打ち抜きの査定だのとほざいて急遽会議を強いられたのだ。
あまりにも急遽過ぎていつもの秘書兼補佐官の時間さえなく無理やりハボックを連れて行くハメになってしまったのだ。
「たいさぁ〜今日みたいな代理はもういやっすよ〜・・・」
「お前よりも私のほうがもう二度とごめんだ」
顔色も変わらず素っ気なく答える
「一応は懸命に書いたんっすよ!」
「だったらもっとマシな字を書けこれじゃ読めん!」
肩を落として精一杯だったと表現してみるが虚しく意思表示さえ通じない
将軍にでもたてつくような性格の持ち主が部下の泣き言にいちいち慰める事などあるわけが無い。
それでも慣れない会議の空気と要領でげんなりしてしまっていたので
もう一言噛み付こうとした時、すれ違いに同じ制服の女性の二人組みが微笑みかけてきた。
「やあ、今日はまた一段と綺麗だねエミリーとセレサ。」
欠かさず笑いと言葉をかける上司。
この場合笑いよりもこの女性にしてみれば微笑みに違いない
「うふふっ大佐ってばご冗談を!」
二人とも満更でもなさそうに笑って後ろから付いているハボックには到底割って入れるような不隠気ではなく軽く言葉を交わすと「それでは」と別れていった。
「セレサってコ、可愛いですね〜」
二人とも足元はスカートだったので事務だろう。ストッキングさえもなめかしく見え、同僚らしきエミリーよりも胸元の膨らみが大きく声の主でもあるハボックの好みでもあった。
「確かお前はボイン派だな?」
声をかけておきながら興味がなさそうに答えるので少しムッとしてしまった。
「じゃ大佐はどこがいいんっすか!」
アレほどまでに女性に愛想よく振舞っていたのにこの冷めようが憎らしい。
「足・・・だといっても太腿の滑らかさと心地よさはお子様のお前にはわからんだろうな」
「何で柔らかくて気持ちイイあの感覚がたまらないんじゃないすか!」
ムキになって言っても
ハッと吐き捨てるようにつぶやくとあらかさまに軽蔑した目で見ていた
「女性経験を積んでないヤツに言われても説得力もない」
「人の彼女を毎度横取りするのなら紹介ぐら」
「ああ煩い、煩い」
鬱陶しく人の事など聞かずに早歩きし始め耳まで塞いでいる。
この角を曲がってもうすぐで執務室が見えるはず
そう思えばいつも会議の後は休憩だのとか言ってサボっているのに珍しい心なしか口元がつりあがっているような?
先に行く上司はさっさと早歩きで角を曲がりって行くハボックは置いていかれないように後をつけて角を曲がってみれば執務室の扉が開いたままで上司が硬直していた。